菩薩の修行の52の階位である五十二位のうちの第31から第40の位。これまでの仏道修行で得た功徳を回[めぐ]らし転じて衆生に振り向け、自他ともに成仏を期す位。
①救護一切衆生離衆生相回向(略して救護衆生回向。六波羅蜜・四無量心などを行じて、一切衆生を救護する位)②不壊回向(三宝のもとで不壊の信を得て、その善根により衆生に善利を回向する位)③等一切仏回向(三世諸仏の振る舞いと同じく、生死に著せず菩提心を離れず修行する位)④至一切処回向(行力によって修めた善根をあまねく一切の三宝や衆生の処に至らしめ、供養利益をなす位)⑤無尽功徳蔵回向(略して無尽蔵回向。一切無尽の善根を喜び、これを回向してもろもろの仏事を行い、それによって無尽の功徳善根を得る位)⑥随順平等善根回向(修行して得た善根を回向して衆生に平等に施し、仏に守護されて、よく堅固な善根を成ずる位)⑦随順等観一切衆生回向(一切の善根を増し、これを回向して、一切の衆生を利益する位)⑧如相回向(如相に順じて成ずるところの種々の善根を回向する位)⑨無縛無著解脱回向(一切法において取執縛著なく、善法を回向し、一切智を得る位)⑩法界無量回向(一切無尽の善根を修習して、これを回向して法界差別無量の功徳を願求する位)をいう。▷五十二位