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祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)

祇樹給孤独園精舎[ぎじゅぎっこどくおんしょうじゃ]のこと。五精舎の一つ。中インドのコーサラ国の都・舎衛城(シュラーヴァスティー、現在のウッタル・プラデーシュ州シュラーヴァスティー県)のジェータヴァナ(逝多林または祇陀林)にあった精舎。釈尊が多年にわたって化導を行った所。舎衛城にスダッタ(須達[すだつ])という富豪(長者)がいて、身寄りのない孤独の人を哀れんで食事を施していたので、彼はアナータピンディカ(給孤独[ぎっこどく])長者と呼ばれていた。釈尊の説法を聞いて深く帰依し、雨季を過ごす滞在場所の供養を思いたって、ジェータ(祇陀[ぎだ])太子の所有する園林であるジェータヴァナの購入を申し出た。祇陀が必要な土地に金を敷き詰めるように言うと、須達がそのとおり実行し始めたので驚き、そのまま土地を須達に寄付し、樹木も譲って寺院建立の一助とした。須達は精舎を建て、両者の名を取って祇樹給孤独園精舎と名づけた。王舎城(ラージャグリハ)の竹林精舎とともに二大精舎といわれ、釈尊の説法の多くがこの2カ所でなされた。7層の伽藍があって荘厳を極めたといわれる。19世紀にイギリス人探検家・カニンガムが文献を手掛かりに調査した結果、現在のネパール南境に近いラプラチ川の南岸、サヘート・マヘートが舎衛城(シュラーヴァスティー)の旧跡であることを発見、その南方を祇園精舎跡と推定した。現在は史跡公園として整備されている。