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能施太子(のうせたいし)

釈尊が過去世に修行していた時の名。自らを能施(布施行を行う者)と称した大国の太子が、あらゆる人々の苦悩を布施によって救おうとし、如意宝珠(意のままに宝を出す珠)を求めて竜王から授かった。その宝珠のもとであらゆる人を得脱させようと誓願を立てることで一切の宝物・衣服・飲食などをふらして、命が尽きるまで布施を続けたという。
こうした、釈尊が過去世に菩薩として修行していた時の物語は、本生譚[ほんじょうたん](ジャータカ)と呼ばれる経典群に記されていて、中国・日本でも民間に広く伝承された。今世に釈尊として生まれることができたのは、この本生譚で説かれているような種々の善行によるとされる。