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因中無果(いんちゅうむか)

『摩訶止観』では、勝論学派(ヴァイシェーシカ学派)の漚楼僧佉[うるそうぎゃ](ウルーカ)による教えとされる。因に和合因・不和合因・助因の三つがあるとし、幾つかの原因が合わさって初めて一つの結果が生ずると説く。例えば陶器という結果は、土という原因がなければ生じないが、土は必ず陶器になるとはかぎらない。これは土が陶器の和合因にすぎないからで、他に助因がなければ陶器にはならない。その助因が変われば陶器以外のものにもなる。したがって、陶器は陶器、土は土である。すなわち、因と果はおのおの別であって、因の中に果なしとする因果別異論を立てた。▷漚楼僧佉/因果