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地獄界(じごくかい)

地獄の世界。苦しみに縛られた最低の境涯。古代インドでは、大きな悪の行いをした者は死後、地の下にあって苦悩が深く大きな世界に生まれるとされた。その世界をサンスクリットでナラカといい、音写して奈落[ならく]と呼び、意訳して地獄という。経典には八熱地獄[はちねつじごく]や八寒地獄[はっかんじごく]など数多くの地獄が説かれている。「観心本尊抄」には「瞋るは地獄」(241㌻)とあり、われわれ人界にそなわる地獄界は、瞋[いか]るすがたにうかがえることが示されている。この「瞋り」は、思い通りにいかない自分自身や、苦しみを感じさせる周囲に対して抱く、やりばのない恨みの心をいう。これに基づいて仏法の生命論では、生きていること自体が苦しい、あらゆることが不幸に感じる生命状態を地獄界とする。▷阿鼻地獄/八大地獄/八寒地獄