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引業(いんごう)

業(行い)のうち、次の生における生命境涯を決定する最も強力なもの。六道(地獄・餓鬼畜生修羅・人・天)、四生(卵生・胎生・湿生・化生)の果報を引き起こす業のこと。次の生命境涯における個々の衆生の差異を決定する満業に対する語。『俱舎論』巻17によれば、未来世で果報を引き起こす業は、その報いの性質に応じて引業満業の二つに分けられる。報いに2種類があり、人間として生まれるという報いを受けた場合、人間として共通な面である肉体・五官などを総報と名づけ、各個人によって異なる面である男女・貴賤・美醜・賢愚などを別報という。このような人界畜生界などの各界に生まれるという総報を引き起こす業を引業と名づけ、各界に生まれた者に対して個々の別報を引き起こす業を満業という。▷業