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迦毘羅衛国(かびらえこく)

古代インドの地名。迦毘羅衛はサンスクリットのカピラヴァストゥの音写。蒼城、黄頭居処、黄髪仙人住処などと訳される。ヒマラヤ山麓、現在のネパールのタライ地方にあたり、釈尊が誕生した国といわれる。国名は、伝説によれば、昔、補多落国(ポタラ)の甘蔗尾嚕荼迦王の4王子が、王に追われて迦毘羅(カピラ)仙人の住処に来て建国したことに由来するという。その後、20数代を経て浄飯王の代に至ったという。仏伝によれば、釈尊はこの国のルンビニー(蘭毘尼)園において、浄飯王を父とし摩耶夫人を母として生まれた。やがて王宮で育ち、19歳で出家し、迦毘羅衛国を去った。その後、迦毘羅衛国の釈迦族は憍薩羅国(コーサラ)の波瑠璃王(ヴィルーダカ)によって攻められ、虐殺されてしまったという。5世紀の初めにインドを訪れた法顕[ほっけん]の『仏国記』や7世紀前半にインド各地を訪れた玄奘の『大唐西域記』巻6によると、すでに国が荒れ果てて住む人も少なくなっていたことが記されている。