八熱地獄ともいう。仏典では古代インドの世界観に基づき、この世界には、殺生・盗み・邪淫などの人倫にもとる悪い行いをした罪の報いとして、死後に堕ちる8種の地獄があるとされる。
①等活[とうかつ]地獄(獄卒に鉄杖で打たれ刀で切られても身体がよみがえり同じ苦しみを繰り返す)②黒縄[こくじょう]地獄(熱鉄の黒縄を身体にあてられそれに沿って切り刻まれる)③衆合[しゅごう]地獄(鉄の山の間に追い込まれ両側の山が迫ってきて押しつぶされる)④叫喚[きょうかん]地獄(熱鉄の地面を走らされ溶けた銅の湯を口に注がれるなどの苦しみで喚き叫ぶ)⑤大叫喚地獄(様相は前に同じ)⑥焦熱[しょうねつ]地獄(焼いた鉄棒で串刺しにされ鉄鍋の上で猛火にあぶられる)⑦大焦熱地獄(様相は前に同じ)⑧阿鼻[あび]地獄(無間地獄)の八つで、その様相は諸経論でさまざまに説かれる。この順に地を下り苦しみも増していき、最底、最悪の阿鼻地獄に至る。日蓮大聖人は「顕謗法抄」(443㌻)で、それぞれを詳述されている。▷阿鼻地獄