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三論宗(さんろんしゅう)

竜樹(ナーガールジュナ)の『中論』『十二門論』と提婆(アーリヤデーヴァ)の『百論』の三つの論に基づく学派。鳩摩羅什が三論を訳して、門下の僧肇[そうじょう]が研究し、隋に吉蔵嘉祥)が大成した。日本には625年、吉蔵の弟子で高句麗僧の慧灌[えかん]が伝え、奈良時代に興隆する。平安時代に聖宝[しょうぼう]が東大寺に東南院を建立して本拠とした。般若経一切皆空無所得(あらゆるものに実体はなく、また実体として得られるものはない)の思想に基づき、八不中道[はっぷちゅうどう](8種の否定を通じて明らかになる中道)を観ずることで、一切の偏見を排して真理を現すとする。