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徳光論師(とっこうろんじ)

生没年不詳。インドの論師。サンスクリットのグナプラバの訳。『大唐西域記』巻4によると、幼少の時から英才で、博識碩学を誇っていた。大乗経を学んでいたが、奥義を究めないうちに『毘婆沙論』を見て小乗に転じ、数十部の論をつくって大乗を批判した。しかし、大乗小乗の疑いが解けなかったので、天軍羅漢[てんぐんらかん]に解決を請い、羅漢神力で天宮に上り、弥勒菩薩に対面した。徳光が弥勒を礼拝しないので、羅漢がその慢心の非を責めると、自分は出家の弟子であるが、弥勒出家の僧でないため礼拝しないと答えた。弥勒菩薩は徳光の慢心の姿を見て、法を受け持っていく器量ではないと知り、法を教えなかったので、徳光はついに自分の難問を解決することができなかったという。