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心地観経(しんじかんぎょう)

大乗本生心地観経[だいじょうほんじょうしんじかんぎょう]の略。中国・唐の般若訳。8巻。四恩(父母の恩、一切衆生の恩、国主の恩、三宝の恩)を説く経典として有名。なお、「開目抄」で本経の文として引用されている「過去の因を知らんと欲せば其の現在の果を見よ未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」(231㌻)という内容の文は、現在までに伝わる心地観経にはない。しかし、その文は道世[どうせ]の『法苑珠林』巻56,74や『諸経要集』巻6,14にも見られ、そこでは経典名を明かさず「経に曰く」とあるだけである。それ故、日寛上人は『開目抄愚記』で、「古来相伝して『心地観経』というなり」(文段集202㌻)と注記している。なお、『諸経要集』巻6には「夫れ、貧富貴賤は並びに往業に因り、得失の有無は皆昔の行に由る。故に経に言わく、『過去の因を知らんと欲せば、当に現在の因を観よ。未来の果を知らんと欲せば、当に現在の因を観よ』と」と記されている。