リンク表示:

念仏宗(ねんぶつしゅう)

浄土宗ともいう。阿弥陀仏[あみだぶつ]の本願を信じ、阿弥陀仏浄土である極楽[ごくらく]世界への往生[おうじょう]を目指す宗派。浄土信仰は、中国・東晋に廬山[ろざん]の慧遠[えおん]を中心として、念仏結社である白蓮社[びゃくれんしゃ]が創設されたのが始まりとされる。その後、浄土五祖とされる中国・南北朝時代の曇鸞[どんらん]が浄土教を広め、唐の道綽[どうしゃく]・善導[ぜんどう]によってその教義が整えられた。具体的には、当初、念仏といえば心に仏を思い浮かべて念ずる観想念仏を意味した。しかし、善導『観無量寿経疏』散善義」で、阿弥陀仏の名をとなえる称名[しょうみょう]念仏を正定[しょうじょう]の業[ごう]すなわち往生のための中心となる修行とし、それ以外の浄土信仰の修行を助行・雑行[ぞうぎょう]とした。日本では、平安末期に法然[ほうねん](源空)が、阿弥陀仏の名号をもっぱら口称する専修[せんじゅ]念仏を創唱した。これは善導の影響を大きく受けており、法然も『選択集[せんちゃくしゅう]』でそれを自認しているが、称名念仏以外の仏教を排除することは、彼独自の解釈である。しかし、その専修性を主たる理由に既成仏教勢力から反発され、その影響を受けた朝廷・幕府からも念仏禁止の取り締まりを受けた。そのため、鎌倉時代の法然門下では、念仏以外の修行も往生のためのものとして認める諸行往生義[しょぎょうおうじょうぎ]の立場が主流となっていた。▷曇鸞/道綽/善導/法然