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浄土(じょうど)

仏の住む清浄な国土のこと。また、国を浄めるという意に使うこともある。煩悩でけがれている穢土[えど](衆生の住む娑婆世界[しゃばせかい])に対し、仏の住む国土五濁[ごじょく]の垢に染まらず清らかなので浄土という。浄土については大別して2種の考え方がある。
浄土と現実の娑婆世界とはまったく異なった世界であるとする説。無量寿経などに説かれる。菩薩が修行を経て仏になる時に完成する国土で、阿弥陀経に説かれる阿弥陀仏の西方極楽浄土阿閦仏[あしゅくぶつ]の東方妙喜世界、釈迦仏の西方無勝世界、薬師如来の東方浄瑠璃世界などがある。こうした諸仏の浄土が、娑婆世界からみてあらゆる方角(十方)にあるので、十方浄土という。
維摩経に「其の心浄きに随って則ち仏土浄し」と説かれるように、心が清浄になれば住む世界も清浄となり、現実の娑婆世界が即浄土となる(娑婆即寂光)との説。法華経如来寿量品第16に説かれる霊山浄土華厳経蓮華蔵世界大乗密厳経の密厳浄土などがこれにあたる。なお爾前経に説かれた種々の浄土観は、衆生機根法華経へ導くための方便説であり、釈尊法華経本門において初めて久遠実成を明かし、本因本果・本国土を説いて、娑婆世界こそ仏の常住する浄土であると明かした。▷国土/四土/三妙合論/娑婆即寂光/常寂光土