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四土(しど)

4種類の国土のこと。仏教の経典で描かれる種々の国土は、そこに住む衆生果報であり、依報とされる。仏・菩薩・声聞などの国土は、内面に覚知し証得している境地と対応している。仏の国土は、仏が菩薩の時に立てた衆生救済の大願と積み重ねた修行に相応して建立されるものとされている。諸経では衆生国土に実体的な環境の違いがあると説くのに対して、法華経見宝塔品第11では、三変土田によって、娑婆世界を中心に多くの国土が浄化されて統一されることが説かれる。本門如来寿量品第16では、本来、常寂光土の一土であるが、それが衆生一念に応じて種々の違いとなって実感されるということを明かしている。▷国土/三変土田/常寂光土
天台宗で立てる四土。①凡聖同居土[ぼんしょうどうごど](人・天などの凡夫声聞縁覚・菩薩・仏の聖者もともに住む国土)②方便有余土[ほうべんうよど](見思惑を断じまだ塵沙・無明惑を残す二乗や菩薩が住む国土)③実報無障礙土[じっぽうむしょうげど](別教初地以上、円教初住以上の菩薩が住む国土)④常寂光土[じょうじゃっこうど](法身・般若・解脱の三徳をそなえ涅槃にいたっている仏が住む国土)をいう。
【詳説】①凡聖同居土。略して同居土ともいう。迷いの凡夫と仏法の覚りを得た聖人とが、ともに住む国土をいう。この国土の仏身は劣応身とされる。▷同居穢土
方便有余土。略して、方便土、有余土ともいう。見思惑を断じた声聞縁覚二乗が生まれ住む国土のこと。すなわち方便の教えを修行して、煩悩の一部を断ずる小乗経の聖者が住む国土をいう。阿羅漢辟支仏のように方便道を修行して一切の煩悩を仮に断じたゆえに「方便」といい、いまだ元品の無明を断ずることができないゆえに「有余」という。また七方便九種の行人の生まれ住むところなので、方便土であるという説もある(七方便とは、蔵教声聞縁覚・菩薩、通教声聞縁覚・菩薩、別教の菩薩のこと。九種の行人とは七方便の中の別教の菩薩を三に開いたもので、蔵教声聞縁覚通教声聞縁覚・菩薩、別教の六住の思惑・見惑を断じた菩薩、十行の菩薩、十回向の菩薩、円教十信の菩薩のこと)。方便土は菩薩が成仏するまで見思の惑(三界六道に出た声聞縁覚・菩薩等の生死)を断じて、さらに智慧を開いて次の実報土に生まれることから、変易土ともいう。
③実報無障礙土。実報土のこと。無明の煩悩を段々に断じて、まことの道理を得た菩薩の住む国土をいう。実報とは真実の仏道修行をすることの報いとして、必ず功徳が現れること。この土は他受用報身教主とすることから受用土とも呼ばれる。
常寂光土。本仏・円仏が住む国土。迹土に対して本土ともいう。『観無量寿経疏』に「常寂光とは、常は即ち法身、寂は即ち解脱、光は即ち般若、是の三点縦横、並別ならざるを、秘密蔵と名づく。諸仏如来の遊居する所の処は、真常究竟にして、極めて浄土と為す」とある。常寂光を三徳に対応させ、常とは法身、寂とは解脱、光とは般若にあたるとし、それが時系列的・並列的ではなく円融しているので、不縦不横とされる。
唯識学派(法相宗)で立てる四土。基(慈恩)の『大乗法苑義林章』巻7などに説かれる、仏が住む国土を4種類に類別したもの。①法性土(自性身の住む国土)②自受用土(自受用身の住む国土)③他受用土(他受用身の住む国土)④変化土(変化身の住む国土)のこと。
❸摂論宗の法常[ほうじょう]らが立てる四土。仏が住む国土を4種に分けて化浄土・事浄土・実報浄土法性浄土としたもの。