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天台宗(てんだいしゅう)

法華経を根本として中国・隋の天台大師智顗を事実上の開祖とする宗派。天台法華宗[てんだいほっけしゅう]、法華宗ともいう。天台大師五時教判を立てて法華経を宣揚し、また一念三千の法門を明かして法華経に基づく観心の修行を確立した。その後、法相宗華厳宗密教・禅の台頭に対し宗勢が振るわなかったが、唐になって妙楽大師湛然が再興した。日本では、平安初期に伝教大師最澄が唐に渡って体系的な教義を学び、帰国後の806年に日本天台宗を開いて法華一乗思想を宣揚した。また伝教大師比叡山[ひえいざん]に大乗戒壇[だいじょうかいだん]を建立しようと努め、没後間もなく実現している。伝教没後は密教化が進み、特に円仁[えんにん](慈覚)や円珍[えんちん](智証)が唐に渡り密教を積極的に取り入れ、安然[あんねん]が体系的に整備した。▷天台大師/妙楽大師/伝教大師/延暦寺/比叡山/円仁/円珍/安然
御書中の用例としては「天台(宗)の教え」といった意味の場合がある。例えば「撰時抄」(263㌻)の「天台宗」は、来日した鑑真によって伝えられた中国天台宗の教えをさす。