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五時(ごじ)

天台大師智顗による教判。諸経典の教えを釈尊一代で説かれたものとみなし、成道から入滅までの教えを内容によって五つの時期に分類し、矛盾なく理解しようとした。華厳時阿含時鹿苑時)・方等時般若時法華涅槃時をいう。
華厳時釈尊が伽耶城(ガヤー)近くの菩提樹の下で成道した後、21日間、華厳経を説いた期間。②阿含時華厳時で教えを理解できなかった者がいたので、波羅奈国(ヴァーラーナシー)の鹿野苑などで12年間、衆生を仏法に誘引するため長阿含経などの四阿含を説いた期間。大乗に対して小乗と位置づけられる。③方等時。続いて16年間(一説には8年間)、阿弥陀経維摩経などの諸大乗経典を説き、小乗に執着する声聞を糾弾して大乗を慕わせた期間。④般若時。鷲峰山(霊鷲山)・白露池など四処十六会で14年間(一説には22年間)、般若経などの一切皆空の教えを説き、衆生機根を菩薩として高めた期間。⑤法華涅槃時マガダ国霊鷲山虚空会二処三会で、8年間法華経を説き、大乗小乗を超えて一切衆生成仏できる真実の教えを開会した期間。また入滅直前に拘尸那城(クシナガラ)の西北の跋提河の沙羅双樹において涅槃経を説き、法華経の説法に漏れた人のために補足的に説法した期間。
天台大師は、この五時を乳を精製する段階の五味乳味酪味生蘇味熟蘇味醍醐味)にあてはめ、醍醐味にあたる法華涅槃時の経が優れた教えであると位置づけた。日蓮大聖人は「守護国家論」で、「大部の経大概是くの如し此より已外諸の大小乗経は次第不定なり、或は阿含経より已後に華厳経を説き法華経より已後に方等般若を説く皆義類を以て之を収めて一処に置くべし」(40㌻)と述べられている。▷天台大師/教相判釈