生没年不詳。中国・南北朝時代の晋の武将。
【毛宝の恩に報いる白亀】中国の故事に基づいた説話。中国・唐の李瀚[りかん]が編んだ故事説話集『蒙求』や日本の『源平盛衰記』などに出ている。日蓮大聖人の御真筆の断簡に中国・魏晋南北朝時代の怪奇説話集『捜神記』を引いてこの故事が紹介されている。『古注蒙求』に引かれる『捜神記』によると、毛宝が川へ行くと、漁師が1匹の亀を釣ったのを見た。毛宝は憐れんで、漁師から亀を買って、川に放してやった。毛宝は10年余りの間、邾城の守備の任についていたが、石虎将軍(李広)と戦い、敗れて川に身を投げた。足で何ものかを踏んでいると、次第に浮かび上がって川岸に着いた。毛宝が見ると、なんと昔、放してやった白い亀であったという。日蓮大聖人は「報恩抄」(293㌻)の冒頭でこの古事を通し、動物でも恩を忘れないのだから、ましてや人間であればなおさら忘れてはならないと教えられている。