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畜生界(ちくしょうかい)

畜生の世界。鳥や獣などの動物が味わう苦悩の境涯。古代インドにおいて畜生は、鳥や獣、虫や魚など動物全般をさす。また、自分が生きるために他を殺害する弱肉強食の世界。十界の一つであり、三悪道四悪趣六道に含まれる。「観心本尊抄」には「癡は畜生」(241㌻)とあり、われわれ人界にそなわる畜生界は、因果の道理をわきまえない愚かな姿にうかがえると示されている。これに基づいて仏法の生命論では、人間らしい理性が働かず、因果の道理がわからず、正邪・善悪の判断に迷ったあげく、目先の利益にとらわれて重要なものを失って苦悩する生命状態を畜生界とする。▷三悪道/四悪趣/十界/六道