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三玄(さんげん)

「玄」とは深遠な真理の意。中国思想の代表的な三つの典籍、『周易』『老子』『荘子』をいう。①『周易』とは、儒教で重んじられる五経の一つ。『易』『易経』ともいう。伝説によれば、伏羲[ふっき]・文王周公旦孔子が『周易』を作るのに関わったとされる。②『老子』とは、老子が書いたとされる『老子道徳経』のこと。③『荘子』とは、荘子とその弟子たちがまとめたとされる書。
天台大師智顗『摩訶止観』巻10上で、陳の文人で三論宗の教学に造詣のある周弘政[しゅうこうせい](485年~565年)の三玄についての釈を引く。それによれば、『周易』は八卦・陰陽・吉凶を判ずるとし、これを有の面から玄を明かすものとしている。また、『老子』は虚融を説くが、無の面から玄を明かすものとする。そして『荘子』は自然を説くが、有無の面から玄を明かすものとする。さらに、これら以外の教えは枝葉であり、この三つを源として派生しているとする。