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一眼の亀(いちげんのかめ)

仏や仏の説く正法に巡り合うことがいかに難しいかを示す譬えに登場する亀。法華経妙荘厳王本事品第27には「仏に巡り合うことが難しいのは、一眼の亀が浮き木の穴に巡り合うのと変わらない」(法華経657㌻、趣意)とある。また「松野殿後家尼御前御返事」に、次のように仰せである(1391㌻)。深海の底に一匹の亀がいた。眼は一つしかなく、手足もひれもない。腹は鉄が焼けるように熱く、背の甲羅は雪山(ヒマラヤ)のように冷たい。1000年に一度しか海面に上がることができない。この亀の願いは海面で栴檀の浮き木に巡り合い、その木の穴に入って腹を冷やし、甲羅を日光で温めることである。しかし、亀の体にあった穴がある栴檀の浮き木に巡り合う可能性はないに等しい。もし巡り合ったとしても亀は浮き木を正しく追うことができない。人々が法華経に巡り合い受持していくことは、この一眼の亀栴檀の浮き木に巡り合うのと同じくらい難しいと説かれる。この話は、盲亀浮木の譬えともいう。