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四劫(しこう)

仏教の世界観で、この世界が生成し消滅する過程を四つの時期に区分したもの。長阿含経巻21などに説かれる。①成劫[じょうこう](成立する期間)②住劫[じゅうこう](安定して存続する期間)③壊劫[えこう](崩壊する期間)④空劫[くうこう](再び成立するまでの期間)。空劫が過ぎればまた成劫が始まり、この成・住・壊・空の四劫が循環して尽きることがないという。
また四劫を1度めぐる期間を1大劫という。1大劫は四劫成住壊空それぞれが20劫からなり、合わせて80劫に細分される。『大智度論』巻38などではこれを小劫とし、『俱舎論』巻12などでは中劫としているが、いずれも1増1減(人の寿命が10歳から、100年に1歳ずつ増して8万歳まで増え、それから100年に1歳ずつ減って10歳まで減る期間)を表している。住劫の20小(中)劫の各減劫の終わりに小の三災(刀兵・疾疫・飢饉)が起こり有情が多大な損害を受け、壊劫の最後の増減劫に大の三災(火災・風災・水災)が起こって世間が壊滅すると説かれている。『立世阿毘曇論』巻9によれば、現在の地球は住劫第九の減、すなわち間もなく住劫の半ばに至ろうとしているとされる。
なお、「観心本尊抄」の「今本時の娑婆世界三災を離れ四劫を出でたる常住浄土なり」(247㌻)との仰せは、変化し流転する現象世界の根底に常住する妙法の世界を述べられている。▷住劫第九の減