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師子王(ししおう)

ライオンが百獣に優れていることを王に譬えたもの。
法華経御本尊を譬える。「千日尼御前御返事」に「法華経師子王の如し一切の獣の頂きとす、法華経師子王を持つ女人は一切の地獄・餓鬼畜生等の百獣に恐るる事なし」(1316㌻)と述べられている。また「千日尼御前御返事」に「此の経文は一切経に勝れたり地走る者の王たり師子王のごとし・空飛ぶ者の王たり鷲のごとし」(1310㌻)と述べられている。
日蓮大聖人を譬える。「常忍抄」に「彼等程の蚊虻の者が日蓮程の師子王を聞かず見ずしてうはのそらに・そしる程のをこじん(嗚呼人)なり」(982㌻)と仰せである。なぜ御本尊ならびに大聖人師子王に譬えられるかといえば、一つは師子が弱敵に対しても全力を出すことを仏の慈悲の無限なことに譬え、一つは師子がいかなる強敵にも恐れないことを、法華経の行者勇猛精進に譬えるのである。「経王殿御返事」法華経従地涌出品第15の文(法華経463㌻)を引いて「師子王前三後一と申して・あり(蟻)の子を取らんとするにも又たけ(猛)きものを取らんとする時も・いきを(勢)ひを出す事は・ただをな(同)じき事なり、日蓮守護たる処の御本尊を・したため参らせ候事も師子王に・をとるべからず、経に云く『師子奮迅之力』とは是なり」(1124㌻)と述べられ、「佐渡御書」に「強敵を伏して始て力士をしる、悪王の正法を破るに邪法の僧等が方人をなして智者を失はん時は師子王の如くなる心をもてる者必ず仏になるべし例せば日蓮が如し」(957㌻)と説かれている。