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従地涌出品(じゅうじゆじゅっぽん)
法華経従地涌出品第15のこと。
釈尊滅後の
末法に
法華経の
弘通を担う
地涌の菩薩が出現することを説いて
釈尊が
久遠実成という
本地を明かす序となっており(
略開近顕遠)、
如来寿量品第16の直前にあって重要な役割を果たす品である。
法師品第10から
釈尊が滅後の
法華経弘通を勧めたことを受けて、迹化・
他方の菩薩は、その
誓願を立てた。しかし
釈尊は菩薩たちに対し、「止みね。善男子よ。汝等が此の経を護持せんことを須いじ」(
法華経451~452㌻)とこれを制止した。その時、
上行・無辺行・浄行・安立行の
四菩薩をリーダーとする
地涌の菩薩が大地から涌出する。その様を目の当たりにした
弥勒菩薩は、いまだかつてこのような菩薩を見たことがないとして、
地涌の菩薩の正体について
釈尊に尋ねた。これに対し
釈尊は「爾して乃ち之を
教化して|初めて
道心を発さしむ……我は
久遠従り来|是等の衆を
教化せり」(
法華経467㌻)と答えたのである。これを聞いて、
会座の聴衆は大きな疑問を起こし、
弥勒菩薩が代表して
釈尊に尋ねる。すなわち、
始成正覚の立場を確認した上で、
成道から40余年しかならない
釈尊が、どうしてこれだけ多くの菩薩を
教化することができたのか。しかもこの菩薩の一人一人が実に立派であり、
釈尊がこれをわが弟子だと言うのは、譬えていえば、25歳の青年が100歳の老人を指してわが弟子であると言うほどの矛盾がある。どうか未来のために疑いを除いていただきたい、と。これを「
動執生疑[どうしゅうしょうぎ]」という。この疑いにまさしく答えたのが、続く
如来寿量品である。以上の内容は
「開目抄」(211㌻以下)で詳細に述べられている。