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武帝(ぶてい)

❶464年~549年。中国・南北朝時代、梁の初代皇帝・蕭衍[しょうえん]のこと。仏教を保護し南朝の仏教文化の隆盛を築いた。帝位についた502年、自宅を光宅寺に改め法雲を住まわせ仏教に帰依し、飲酒や肉食を断ったり宗廟の祭祀の犠牲を廃したりするなど、戒律を重んじた。寺塔の建立に励み、また自ら仏教書を著すとともに僧侶にも編纂させた。その中には経律論の要文集として有名な『経律異相』(宝唱[ほうしょう]撰、516年成立)がある。このような仏教への傾倒もあって、治世の後期には政治の混乱を招き、侯景の反乱によって都の建康を落とされ、武帝は幽閉されて没した。
❷543年~578年。中国・北周の第3代皇帝・宇文邕[うぶんよう]のこと。建徳3年(574年)より仏教・道教を弾圧し、多くの僧尼を還俗させ経典や仏像などを破壊した。これは三武一宗の法難に数えられる。この廃仏に至るまでには、還俗僧の衛元嵩[えいげんすう]による廃仏の上奏(「廃仏法事」)や道士の策動があった。日蓮大聖人は「災難対治抄」で、法然源空)の『選択集』によって日本国に災難が起きたとし、それ以前に災難をもたらす因となった例として、五常を破り仏教を迫害した宇文邕と衛元嵩を挙げられている(83㌻)。▷衛元嵩