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衣裏珠の譬え(えりじゅのたとえ)

法華経五百弟子受記品第8に説かれる譬え(法華経338㌻以下)。ある貧しい人が親友の家で酒に酔って寝てしまった。親友は彼の衣の裏に無価の宝珠(価が付けられないほど貴重な宝石)を縫い付け、出かけていった。目を覚ました貧しい人は、それに気づかず、衣食を求めて他国を放浪するも困窮した。やがて親友と再会して衣の裏の宝珠のことを知らされた。この譬えを通し、阿羅漢の覚りを得た声聞たちは次のように語っている。すなわち、釈尊はかつて声聞たちを教化し仏の智慧を求める心を生じさせたが、声聞たちはそれをすぐに忘れてしまい、阿羅漢になり涅槃を得たことで満足してしまった。しかしそれは、真実の覚りではなく、また自分たちが真実には菩薩であると知った。