一般には徳の高い僧侶の伝記を集成したものをいう。御書に関連するものとして、ここでは中国の三朝高僧伝を以下に挙げる。
①『梁高僧伝』。単に『高僧伝』といえば、これをさす場合が多い。梁[りょう]の慧皎[えこう]の著作。13巻。中国に仏教が伝来した後漢の明帝永平10年(67年)から、梁の天監18年(519年)に至る高僧の事跡を集録したもの。正伝257人、付伝243人の伝記が収められている。高僧伝として初めて整備されたもので後世の僧伝の範となった。
②『唐高僧伝』。『続高僧伝』ともいう。唐の道宣の著作。30巻。『梁高僧伝』に次いで、梁の初めから唐の貞観19年(645年)までの高僧の事跡を記録したもの。正伝340人、付伝160人の伝記が収められている。その後も増補され、正伝485人、付伝210人以上を数える伝記となった。なお、現行本には若干、巻数の異同があるが、これは道宣の『後集続高僧伝』10巻が編入されたためとされる。
③『宋高僧伝』。宋の賛寧[さんねい]らの著作。30巻。宋の太宗の勅旨により作成され、唐の高僧を中心に正伝533人、付伝130人の伝記が収められている。