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阿毘達磨(あびだつま)
サンスクリットのアビダルマの音写。阿毘曇[あびどん]ともいい、対法などと訳す。仏教の法理に対する解釈・理論。
経律論の
三蔵の中の論蔵。紀元前3世紀から紀元1世紀の間に、仏教教団が多くの部派に分裂したが、その多くが経典の研究に取り組み、その成果が膨大なアビダルマ論書として集大成されていった。上座部では経典注釈が主で教理体系の発展は少ないが、説一切有部では経から独立して独自な理論の体系化がなされ、この派が最も多くの論書を現在に残している。これらの成果の中心は『
阿毘達磨発智論』であり、この研究が集大成され『
阿毘達磨大毘婆沙論』が編集された。さらにアビダルマ論書の終着点ともいうべき『
阿毘達磨俱舎論』が
世親(ヴァスバンドゥ)によって作成された。特に『俱舎論』に紹介されている有部の
阿毘達磨は、部派仏教の理論を集大成し
大乗仏教の理論的萌芽が見られるといわれており、仏教思想の中で一つの時代を画している。この教理体系は後に
大乗経典にも利用され、その基礎学として欠かせないものとなった。▷
三蔵/
『大毘婆沙論』/
世親