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世親(せしん)

4~5世紀ごろのインドの仏教思想家。北インドのプルシャプラ(現在のパキスタンのペシャワル)出身の論師。サンスクリット名はヴァスバンドゥ。新訳で「世親」、旧訳で「天親[てんじん]」という。初めは小乗を学び『俱舎論』などを著したが、兄の無著(アサンガ)によって大乗帰依し、唯識思想(実在するのは認識主体の識だけであって、外界は心に立ち現れているだけで実在しないという思想)を発展させたほか、『法華論』などを著し、大乗を宣揚した。多くの論書をつくり「千部の論師」とたたえられる。主著に『唯識三十論頌』など。