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五重玄義(ごじゅうげんぎ)

天台大師智顗が諸経の深意を知るため、諸経の解釈をするにあたって用いた法門。五玄、五章、五重玄ともいう。天台大師『法華玄義』に釈名[しゃくみょう]・弁体[べんたい]・明宗[みょうしゅう]・論用[ろんゆう]・判教[はんぎょう](名・体・宗・用・教)の5面から、妙法蓮華経を釈した。①釈名とは経題を解釈し名を明かすこと。②弁体とは一経の体である法理を究めること。③明宗とは一経の宗要を明かすこと。④論用とは一経の功徳・力用を論ずること。⑤判教とは一経の教相を判釈すること。
天台大師五重玄の依文として法華経如来神力品第21の結要付嘱の文である「要を以て之を言わば、如来の一切の所有の法(=名)、如来の一切の自在の神力(=用)、如来の一切の秘要の蔵(=体)、如来の一切の甚深の事(=宗)は、皆此の経(=教)に於いて宣示顕説す」(法華経572㌻)を挙げている。また教とは法華の一切の教えに対し優れている教相をいい、名体宗用をもって釈するときに法華の無上醍醐の妙教であることが明らかになる。その釈には通別がある。通釈は、七番共解(標章・引証・生起・開合・料簡・観心・会異)のおのおのにおいて五重玄の概念を総括的に解釈したもの。別釈は名・体・宗・用・教の五重を各別に釈したもので、別釈五章という。日蓮大聖人は「曽谷入道殿許御書」(1032㌻)で、法華経の肝心である妙法蓮華経という題目の五字に五重玄義がそなわることを示されている。