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受戒/授戒(じゅかい)

戒を受けること。または授けること。出家在家の者が仏の教えを奉ずる志のしるしとして、また教団に入ることを誓ったしるしとして、一定の規律(戒法)を受け入れ、これに従うことを誓うこと。戒を授ける立場からは授戒と書く。小乗においては在家五戒八斎戒出家十戒・六法正学戒・具足戒比丘には二百五十戒比丘尼には五百戒)がある。それぞれの儀式には原則として、戒を授ける師となる戒和上、授戒の儀式を進行する羯磨阿闍梨[かつま(こんま)あじゃり]を要するが、比丘比丘尼になるための具足戒の場合は、これらに加えてその場の作法を説示する教授阿闍梨と、立ち会い証明する七人の証人を要する(これを三師七証という)。東大寺戒壇院の作法はこれに順じて行われた。しかし在家五戒では和上一師で行う場合もあり、具足戒においても辺国(筑紫の観世音寺・下野の薬師寺)では三師二証で行われた。
大乗においては、一師(あるいは二師、三師)からの受戒や、師なくして自ら誓いを立てることをもって受戒とする自誓受戒がある。これは、受戒の本義が、現前の人師ではなく釈迦、多宝十方の諸仏らの仏や菩薩に誓うことにあること、また大乗戒は利他を旨とする菩薩の戒であり、自利を旨とした煩瑣で形式的な小乗戒とはおのずから異なるといった理由によるとされる。伝教大師最澄は、大乗を学ぶ者でも僧の資格を得るには奈良・東大寺小乗戒を受けなければならないとされていた当時のしきたりに異を唱えて、大乗戒によって比丘を称することができるよう主張し、没後にそれが認められた。これが延暦寺戒壇で、わが国初の大乗戒壇となった。▷戒/戒壇/円頓の大乗別受戒の大戒壇