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失心の余残(しっしんのよざん)

本心を失ったまま、後々まで救済されず余り残っている者のこと。法華経如来寿量品第16に説かれる「良医病子の譬え」(法華経484㌻以下)に基づく。「失心」とは不失心に対する語で、毒が深く回って本心を失うこと、または本心を失った者をいう。釈尊の仏法では、五百塵点劫久遠下種されたことを忘失した者が、法華経本門の座にきて内心には欲しながら、なおかつこの良薬を服そうとしない者のこと。「余残」とは、落ちこぼれ、あまりかすという意味で、一切衆生皆成仏道法華経によってすら成仏得道ができなかった人たちのこと。「佐渡御書」に「又過去の謗法を案ずるに誰かしる勝意比丘が魂にもや大天が神にもや不軽軽毀の流類なるか失心の余残なるか……宿業はかりがたし」(958㌻)と述べられている。▷良医病子の譬え