法華経如来寿量品第16の一品と前後の二品の半分(従地涌出品第15の後半と分別功徳品第17の前半)のこと。「観心本尊抄」で言及される。同抄の「本門脱益三段」を述べられた箇所(249㌻)では、法華経本門の14品を一つの経典としてとらえ、それを序・正・流通に立て分けられて、一品二半を正宗分とされている。さらに「文底下種三段」を明かす箇所では、下種の法である「本門の南無妙法蓮華経の五字」という仏の根本の教えがどこに説かれているのかを示すという点から、再度、序・正・流通の区別を明かされ、寿量品を中心とする一品二半を正宗分とされている。
またここでいう「一品二半」は、天台教学におけるそれとは異なり、日蓮大聖人が改めて立て直されたものである。「法華取要抄」では、天台教学における一品二半は、釈尊の化導の枠組みに基づくもので、涌出品の略開近顕遠(地涌の菩薩は久遠以来の弟子であると述べ、ほぼ開近顕遠を明かしている)から始まり、寿量品の広開近顕遠(久遠の昔に成仏したことを述べ、仏の永遠の生命を明かした)を含むもので、在世の衆生に対する脱益のための教えであるとされる。それ故、「略広開顕の一品二半」と呼ばれる。これに対して、大聖人御自身の本門の正宗分としての一品二半は、略開近顕遠を含まず、動執生疑のところから始まり、もっぱら滅後、その中でも末法の凡夫のためであるとされる。それ故、「広開近顕遠の一品二半」と呼ばれる。この意味での正宗分の一品二半によって明かされる寿量文底の肝心たる妙法のみが、末法における衆生成仏の要法であり、三世の諸仏の一切の経々はすべて、この妙法をあらわすための序分と位置づけられるのである。▷序分・正宗分・流通分