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法然(ほうねん)

1133年~1212年。法然源空[げんくう]のこと。平安末期から鎌倉初期の僧。日本浄土宗の開祖。天台宗の僧であったが、中国浄土教善導[ぜんどう]の思想に傾倒し、他の一切の修行を排除し念仏口称をもっぱら行う専修念仏[せんじゅねんぶつ]を創唱した。代表著作の『選択集[せんちゃくしゅう](選択本願念仏集)』では、法華経をも含む一切の経典の教えを捨て閉じ閣[さしお]き抛[なげう]てと排除し、もっぱら念仏をとなえることによって往生を願うべきであると説いた。法然専修念仏に対しては、当初、後白河法皇[ごしらかわほうおう]や摂政・関白を歴任した九条兼実[くじょうかねざね]ら有力者の支持を得たが、やがて諸宗派からの反発が強まる。朝廷・幕府も禁止の命令を出し、建永2年(1207年)、法然らが流罪され、高弟が死罪に処せられた。その後も繰り返し禁圧が続くが、念仏は広がっていった。弟子に親鸞[しんらん]がいる。▷念仏宗/『選択集』/捨閉閣抛/「立正安国論」