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維摩経(ゆいまきょう)

漢訳には、中国・呉の支謙[しけん]が訳した維摩詰経[ゆいまきつきょう]3巻や鳩摩羅什訳の維摩詰所説経[ゆいまきつしょせつきょう]3巻などがある。浄名経[じょうみょうきょう]ともいう。主人公は、大乗を持つ在家の仏弟子であり大富豪でもある維摩詰大乗仏教の「空[くう]」の思想を覚らせる精神が貫かれ、維摩詰が弁舌巧みに声聞小乗観を論破するさまが、文学性豊かに描かれている。天台教学における五時のうち方等時に属する。「開目抄」(192㌻)では爾前経では二乗が不成仏であると説かれることの典拠の一つとされている。
【病に関する問答】維摩経には、病気になった維摩詰を見舞いに来た文殊師利菩薩との問答が描かれている。病気になった理由を問われた維摩詰は、「あらゆる人の苦しみをわが苦しみとし、ともに乗り越えていくために、あえて、自らも病気の姿を現している」と答えた。▷維摩詰