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妙覚(みょうかく)

❶仏の優れた覚りの境地。
❷菩薩の修行の段階。五十二位のうちの最高位の第52位。等覚[とうがく]位の菩薩が、42品の無明惑のうち最後の元品の無明を断じて到達した位で、仏と同じ位。六即位(円教の菩薩の修行位)では究竟即[くきょうそく]にあたる。文底下種仏法では名字妙覚の仏となる。「法華取要抄」には「今法華経に来至して実法を授与し法華経本門略開近顕遠に来至して華厳よりの大菩薩・二乗大梵天帝釈日月四天・竜王等は位妙覚に隣り又妙覚の位に入るなり、若し爾れば今我等天に向って之を見れば生身の妙覚の仏本位に居して衆生利益する是なり」(334㌻)と述べられている。法華経文上の教説では、釈尊在世の衆生は、釈尊によって過去に下種されて以来、熟益の化導に従って本門寿量品に至った菩薩の最高位である等覚の位にまで上って得脱したとされる。日寛上人の『当流行事抄』によれば、これを文底の意から見た場合、等覚位の菩薩でも、久遠元初妙法である南無妙法蓮華経を覚知して一転して南無妙法蓮華経を信ずる名字の凡夫の位に返り、そこから直ちに妙覚位(仏位)に入ったとする。これを「等覚一転名字妙覚」という。▷五十二位