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八識(はっしき)

大乗唯識思想で、生命の働きである識を8種に分けたもの。またその第8識をいう。諸宗によって立て方が異なる。法相宗では、前5識、第6識・意識、第7識・末那識と別に、根源の識として第8識・阿頼耶識を立てる。阿摩羅識をいうものの、それは阿頼耶識の煩悩に染まっていない清浄な部分(浄分)とし、これら八つの識を心王と立て、八識心王とする。これに対して、天台宗華厳宗などでは、煩悩に染まった迷いの部分(染分)と清浄な部分の二つ(染浄の二法)からなる第8識より根源的な領域として、清浄で覚りの真理(真如)と一体である阿摩羅識を第9識として立てる。菩薩は三惑のうち見思惑を断じて第8識までを覚知するものの、まだ根本の煩悩である無明惑を克服していない。このため、天台大師智顗は『金光明経玄義』巻上で、第8識の阿黎耶識(阿頼耶識・無没識)を菩薩識と位置づけている。▷唯識/九識