サンスクリットのダートゥの訳。ダートゥは、ものごとを下支えするもので、構成要素、元素、原理、本質、領域などを意味する。
①十八界(六根・六境・六識)における界は、一個の衆生を構成する要素をいう。
②六界(六大ともいう)における界は、世界を構成する地・水・火・風・空・識という元素をいう。
③三界(欲界・色界・無色界)における界は、衆生が輪廻する世界を区切った領域をいう。
④十(法)界(地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界)における界は、因果の法則で隔てられた領域をいう。また、十界における界には、領域・世界の意味と要素の意味がある。すなわち、得られた境涯として居住する苦楽の領域・世界をさす場合と、内面にそなわる要素をさす場合がある。生命境涯を大きく10に分類したのが十界であるが、法華経の教えでは、十界のそれぞれには次に現れうる境涯の要素として十界が内面にそなわっているという十界互具が明かされている。例えば、現実に現れている境涯としての人界に、次に現れうる境涯の要素として仏界がそなわるが、この仏界を人界所具の仏界という。
⑤法性という意味での法界では、事物の本質・本性をいう。