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師弟の遠近(していのおんごん)

天台大師智顗『法華玄義』巻1上で、法華経が諸経に優れている教相として挙げた、三種の教相根性の融・不融、化導の始終・不始終、師弟の遠近・不遠近)の第3。釈尊地涌の菩薩の師弟の関係が久遠の過去からの長遠なものであること。これは、諸経に説かれず法華経のみに説かれるので、「諸経永異」「一向異」と位置づけられている。法華経本門では、従地涌出品第15で久遠の弟子の菩薩(地涌の菩薩)が出現し、如来寿量品第16で師である釈尊久遠実成本地が明かされ、また娑婆世界こそが久遠の仏が常住する国土であることが明かされた。こうして久遠本地が師弟ともに明かされて、師である仏と弟子である菩薩が久遠から常住であると明らかにされた。このことは十界久遠から常住であることを示している。日蓮大聖人「観心本尊抄」(249㌻)で、十界久遠から常住であることが明かされただけではなく本国土が明かされたことによって、一念三千の法理に必要なすべての要素が整ったとされている。▷始成正覚/久遠実成