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曼荼羅(まんだら)

サンスクリットのマンダラの音写。漫荼羅、曼陀羅などとも書く。道場、壇[だん]、功徳聚[くどくじゅ]、輪円具足[りんえんぐそく]と訳す。曼荼羅の起源は、古代インドで秘法を行い諸神の来降を求める時、魔衆の侵入を防ぐために土壇を築き、その上に円形または方形に区画した区域をつくったことにある。そこから転じて、信仰や祈禱・修法の本尊として、仏などの諸尊を総集して掛け軸などに図顕されたものをいう。
密教では、それぞれの祈禱・修法に応じてさまざまな曼荼羅が開発されて用いられるが、東密では金剛界曼荼羅胎蔵曼荼羅両部曼荼羅を根本とする。また、灌頂などの修法の時には、壇上に敷曼荼羅が用いられる。
日蓮大聖人竜の口の法難を機に独自の御本尊を図顕され、これを「曼荼羅」(1124㌻)、「大曼荼羅」(1243㌻など)と呼ばれている。そしてこの曼荼羅を、御自身が内面に確立された覚り(内証)を直ちに示したものであり、仏種である一念三千の法を法華経虚空会[こくうえ]の儀式を用いて表現したものと位置づけられている。それ故、事の一念三千とされる。この曼荼羅の相貌は、南無妙法蓮華経を中心とし、周囲に十界衆生が配されている(「日女御前御返事」1243㌻に詳しい)。このことから十界曼荼羅と呼ばれる。この曼荼羅は、拝する人が、自身が本質的には南無妙法蓮華経そのものであり、十界の働き(功徳)をすべてそなえていると信じて、自身の仏界を開き現して成仏するための本尊である。▷一念三千/虚空会/仏種/本尊/御本尊