リンク表示:

鬼神(きじん)

超人的な働きをするもの。仏道修行者を守護する働き(善鬼神)や、生命をむしばむ働き(悪鬼神)に大別される。法華経では悪鬼とするとともに法華経受持する者を守護するとも説かれる。法華経勧持品第13には「悪鬼は其の身に入って|我を罵詈毀辱せん」(法華経419㌻)とあり、「立正安国論」では「魔来り鬼来り災起り難起る」(17㌻)とある。また『摩訶止観』巻8に「病の起こる因縁を明かすに六有り……四に鬼神、便りを得」(1009㌻で引用)とある。さらに鬼神は、人の思考の乱れを引き起こし国家社会を混乱させる働きがあり、そこから鬼神を思想の乱れを起こすものの意に用いることがある。仁王経巻下に「国土乱るる時は、先ず鬼神乱る。鬼神乱るるが故に、万民乱る」(19㌻で引用)とある。