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三類の強敵(さんるいのごうてき)

釈尊の滅後の悪世に法華経弘通する者に迫害を加える人々。法華経勧持品第13に説かれる(法華経418~419㌻)。これを妙楽大師湛然『法華文句記』巻8の4で、3種に分類した。
俗衆増上慢[ぞくしゅぞうじょうまん]は、仏法に無智な在家の迫害者。悪口罵詈[あっくめり]などを浴びせ、刀や杖で危害を加える。②道門増上慢[どうもんぞうじょうまん]は、比丘[びく](僧侶)である迫害者。邪智で心が曲がっているために、真実の仏法を究めていないのに、自分の考えに執着し自身が優れていると思い、迫害してくる。③僭聖増上慢[せんしょうぞうじょうまん]は、聖者のように仰がれているが、迫害の元凶となる高僧。ふだんは世間から離れた所に住み、自分の利益のみを貪り、悪心を抱く。讒言[ざんげん]によって権力者を動かし、弾圧を加えるよう仕向ける。
妙楽大師は、この三類のうち僭聖増上慢は見破りがたいため最も悪質であるとしている。日蓮大聖人は、現実にこの三類の強敵を呼び起こしたことをもって、御自身が末法の法華経の行者であることの証明とされた。「開目抄」(228㌻)では具体的に聖一[しょういち](円爾弁円)、極楽寺良観[ごくらくじりょうかん](忍性)らを僭聖増上慢として糾弾されている。▷勧持品二十行の偈/悪口罵詈