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提婆達多(だいばだった)

サンスクリットのデーヴァダッタの音写。調達[じょうだつ]とも音写する。釈尊の従弟で、最初は釈尊に従って出家するが、慢心を起こして敵対し、釈尊に種々の危害を加えたり教団の分裂を企てた(三逆罪=破和合僧・出仏身血・殺阿羅漢)。その悪行ゆえに生きながら地獄に堕ちたという。
提婆成仏法華経提婆達多品第12では、提婆達多阿私仙人[あしせんにん]という釈尊の過去世の修行の師であったことが明かされ、無量劫の後、天王如来[てんのうにょらい]になるだろうと記別を与えられている(法華経400㌻)。これは悪人成仏を明かしている。
釈尊や仏弟子への迫害】①仏伝によれば、提婆達多釈尊を殺そうとして耆闍崛山霊鷲山)から大石を投げ落としたが、地神の手に触れたことで釈尊は石を避けることができた。しかし、破片が釈尊の足に当たり親指から血が出たという。これは五逆罪の一つ、出仏身血にあたる。②阿闍世王は、提婆達多を新たに仏にしようとして、象に酒を飲ませて放ち、釈尊を踏み殺させようとしたという。これは釈尊自身が受けた九つの難(九横の大難)の一つにあたる。③『大智度論』などによると、蓮華比丘尼華色比丘尼)は、釈尊の弟子で、提婆達多が岩を落として釈尊を傷つけて血を出させた時に、提婆達多を非難して、提婆達多に殴り殺されたという。▷提婆達多品/悪人成仏/阿私仙人/須頭檀王