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化法の四教(けほうのしきょう)

釈尊の一代の教えをその内容によって4種(蔵教通教別教円教)に分類した天台宗教判
三蔵教。略して蔵教ともいう。経律論三蔵をそなえ、三界の内(界内)の生死因果のみを明かし、諸法を構成要素に分析して空とする析空観[しゃっくうかん]を観法とし、諸法の空をみて不空を知らない但空の理を説く。主として声聞縁覚を対象とし、付随して菩薩を対象とするが、その究極は声聞の覚りにすぎないので、声聞教という。小乗教と位置づけられる。
通教大乗の初門となる教えで、前の三蔵教と後の別教円教とに通ずるので通教という。また、三乗に通じる教えなので通教という。界内の理を明かし、諸法の体に即してそのまま空とする体空観を用い、空の中に自ら不空が存在するという不但空[ふたんくう]の理を説く。声聞縁覚・菩薩がともに学ぶが、菩薩を主たる対象とする。
別教。前の蔵・通二教とも後の円教とも別なので別教という。界外の事である菩薩の歴劫修行の様相を明かし、空仮中の三諦のそれぞれが但空・但仮・但中であるという隔歴[きゃくりゃく]の三諦を説く。二乗を除いて特別に菩薩のために説かれる。
円教三諦十界・十如・三千諸法が円融円満に説かれるので円教という。界外の理を明かし、万法の円融相即を説き、一即一切、一切即一であり、三諦についていえば三諦それぞれが不但で即空・即仮・即中という円融の三諦を説く。一行即一切行、一位即一切位と説き、初心の行位に万行・万位の功徳を包摂するので、一切衆生を対象として救済する利益を有する。
妙楽大師湛然『止観輔行伝弘決』で、以上の四教のうち、蔵・通・別の三教には仏果の名はあるが、実際には仏果に至る人はいない(有教無人)と説く。また四教五時に配すると、『法華玄義』では、第1の華厳時円教別教を兼ねて説くので兼、第2の阿含時はただ三蔵教のみを説くので但、第3の方等時蔵通別円四教を対比させて説くので対、第4の般若時円教通教別教を帯びて説くので帯[たい]とする。妙楽大師『法華玄義釈籤』で、さらに第5の法華経純円と規定した。さらに妙楽大師は、爾前の円が兼・対・帯であるのに対して法華の円は独妙であるとし、法華経を八教(化法の四教化儀の四教)を超えて優れた超八醍醐の教えと位置づけた。▷五時八教/天台大師/化儀の四教/教相判釈