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南三北七(なんさんほくしち)

中国・南北朝時代(440年~589年)にあった仏教の教判(経典の判定)に関する10人の学説のこと。長江(揚子江)流域の南地の3師と黄河流域の北地の7師がいた。天台大師智顗『法華玄義』巻10上で分類したもの。10師はそれぞれ依って立つ経論を掲げ、それを宣揚する教判を立て、優劣を競っていた。その全体的な傾向を、日蓮大聖人「撰時抄」で「しかれども大綱は一同なり所謂一代聖教の中には華厳経第一・涅槃経第二・法華経第三なり」(261㌻)とされている。天台大師はこれら南三北七の主張を批判し、五時教判を立て、釈尊一代の教えについて法華経第1、涅槃経第2、華厳経第3であるとし、法華経の正義を宣揚した。
南北の諸学派は、釈尊一代の教えを、その説き方によって①頓教(真実を直ちに説く)②漸教(順を追って高度な教えに導いていく)③不定教(漸教頓教に当てはまらず、しかも仏性常住を明かす)の三つに分類した。頓教華厳経漸教三蔵教(小乗)の有相教とその後に説かれた大乗の無相教、不定教は勝鬘経金光明経とされた。
南三とは、漸教のうち南地における三つの異なった見解のことで、①虎丘山の笈師[ぎゅうし]の三時教②宗愛[しゅうあい](大昌寺僧宗[そうしゅう]と白馬寺曇愛[どんあい]の2人とする説もある)の四時教③定林寺の僧柔慧次道場寺の慧観五時教
北七とは、①五時教菩提流支[ぼだいるし]の半満二教光統慧光)の四宗(教)五宗(教)六宗(教)⑥北地の禅師の(有相・無相の)二種大乗二宗の大乗)⑦北地の禅師の一音教。①および④~⑦は個人名が明かされていない。▷三時教/四時教/五時教/半満二教/四宗(教)/五宗(教)/六宗(教)/二宗の大乗/一音教